よくある木造の社の裏へしばらく歩くと、こんもり茂った森がそこだけ開けて、真ん中に大きな大きなアコウの樹が立っています。海から運ばれた真っ白な珊瑚の塊りが積まれていて、そこが古くからの聖所であることを示しているほかは、なんにもありません。
自分がただこの森の生成の一部に過ぎない、地球の生成の一部に過ぎないという感覚は、いつも新鮮で、安心できるものです。ちゃんと自分にも根っこがあることを確認する作業と言いましょうか。
私は北米の先住民居留地をはじめ世界中を経巡ってきました。
何処へ行っても常に、伝統的な、地球の生成に沿うた生活の思想と、より便利で清潔で安全で、しかし腐食力が強く地球の生成を破壊しかねない生活の様式との紛争の最前線を歩いてきたような気がします。
現代の生活様式に疑問、というか危機感を持つならば、より良い方法を探さなくてはなりません。人によって意見は様々、解決方法も様々なのでしょうが私は伝統的な思考を丹念に遡上することによって答えを見つけようとしています。根っこを確かめ、心を取り戻し、そこから何ができるのか考え続けています。丸木舟にまつわることは、その一環にすぎません。

